「たまにはあたらなかったのに」                           小6  社会

 
   
 

 本時は,小学校社会科「第二次世界大戦」の中で「身近な地域の歴史」として設定した小単元「たまにはあたらなかったのに」の中の1校時目である。現行の学習指導要領では,「身近な地域の歴史」学習の意味を「身近な地域及び国土の遺跡や文化財などの観察や調査を行うようにすること。」と述べる。
  以上のことをふまえて小単元「たまにはあたらなかったのに」の目標を次のように設定した。第二次世界大戦中において、竹富町の島々では戦闘がなかったにもかかわらず、石垣島や西表島に強制移住させられ、マラリアで多くの人々が亡くなったという身近な地域の歴史を教科内容とする、その際、波照間小の子どもたちが作った詩「星になったこどもたち」、「忘れな石」、表−戦争でなくなった人数、波照間島のおばさんやおじさんの話、疎開先地図、南風見にすんでいるおじいさんの話という教材を通して、子どもたちは興味や関心を高め,多面的・多角的な考察と相互の吟味により、認識の深まりを子どもとともに確認する。

 
   
 

   学年:小学校6年 社会科
   単元:「第二次世界大戦」 
   小単元「たまにはあたらなかったのに」1時限目(4時間中)

 
   
 

・詞「星になったこどもたち」や、表−戦争でなくなった人数と生活体験から得た知見をもとに、第二次世界大戦中 竹富町で多くの人が死の原因を推測することができる。
・自己や他者の優れた推論を、大切にすることができる。

 
   
 
  学習の展開 教師の支援・評価の観点

教材、波照間小学校のかべに書かれた詞「星になったこどもたち」の朗読を聞く。 ・波照間小学校のかべに書かれた詞「星になったこどもたち」の映像を子どもたちにみせ、歌詞の書かれたワークシートを配り、先生が朗読する。

・歌詞の中の「ガタガタふるえた(?)で」をさりげなく読む。 

<評価>
朗読を聞く姿勢・態度

展開 ・忘れな石をみる。

・「忘勿石 ハテルマ シキナ」と関連するであろう、「ほしになった」「戦争」「返りたい波照間へ」などに線が引かれていく

なくなった人の数の多い順にワークシートの表に書き入れていくと次のような認識が生まれる。
・ 米軍の攻撃で死んだ人は27人
・ ?で死んだ人の数は785人
・ 死亡者が一番多いのは波照間島で477人、で も米軍の攻撃は0

米軍の攻撃の死亡者が一番多いのは黒島で10人、黒島の?の死亡者は19
・南風見田海岸にきざまれている忘れな石という言葉」という歌詞が気になるので、西表島の南風見海岸に行って忘れな石みたといい「忘れな石」の映像をみせる。

・ 映像中の刻銘「忘勿石 ハテルマ シキナ」という謎を明らかにするには歌詞の中の何を調べればいいか。線を引かせる。

・ 死、戦死などのイメージが湧いてきたことを確認する中で、表−戦争でなくなった人数、を配布し、なくなった人の数の多い順にワークシートの表に書き入れてみようと作業をさせる。

<評価>
正確な表からの読み取り

読み取った事実から、様々な疑問がわき出すことを子ども自身、子ども集団が宝物と思えるか。


予想される 表の中の(  ?  )

・病死
・餓死
・ 凍死

理由を書き始める。

病死派 
餓死派
凍死派

それぞれに意見を言う。

発問
さあ ? って何だろう。 

表の中の(  ?  )に次の3つ言葉の中から撰んでを入れてみよう。
入れた後、その理由も書かせる。

三択の分布を調べ、意見を言わせる。

最後に波照間島のおばさんのお話からマラリアによる死であったことを確認する。ここでは、マラリアという解答を求めることが、重要ではない。「寒い」「ふるえる」「帰りたい」「波照間や小浜島、鳩間島・西表島などは(?)による死者が多い」等の根拠が宝物であることを子どもと確認する。

そしてが、以前として波照間の死者が多い理由がわからないねと課題を提起して次時へつなぐ。

 
   
 

(1)生徒の思考
@私は、「凍死」という言葉を入れました、波照間の子どもたちがブルブル震えながら死んでいったと考えたからです。
Aぼくは、「凍死」という意見に賛成し、付け足しました。子どもたちは寒いところに連れて行かれたから帰りたかったんだ。
B病死だと思う。病院がある石垣島に近い島ほど、(?)による死者が少ないから。

(2)考察
@の「凍死」という言葉をいれた子どもは多数派であった。それに対して、病死派の熱が出てガタガタふるえる病気だという反論を呼び起こした。こういう議論の構造を子どもたちとともに褒めたたえあった。
Aはさらなる認識の発展である。寒いところに連れて行かれたという認識は「星になったこどもたち」というイメージと呼応し、説得力をもった。まとめの時、この点を評価しすぎて、満蒙移民の話までしてしまった。
Bはきわめてむつかしい推論、なぜ波照間では?による死者が多いのかという理由に挑んだものである。病院がある石垣島に近い島ほど、死者が少ないという認識は、子どもの生活感覚からきているものである。

 
   
 

・PC関連
  教師用PC(1台),プロジェクタ,教材CD
・プロジェクタ等で教材を表示するのみならず、クラス全員ひとりひとりに教材を含み込んだワークシートを配布する

 
   
 

教材URL:「教材ソフト一覧」にて教材を閲覧下さい
     http://oecc.open.ed.jp/cdrom/noteword/note19.doc
     http://oecc.open.ed.jp/cdrom/notepdf/note19.pdf

沖縄県立総合教育センターに,竹富町教育委員会(結び合うしま島)として登録されている教材の一つである。
  『「たまにはあたらなかったのに」』は竹富町の島々の現代史を考えるワークシートになっている。

 
 
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