「網取よ、よみがえれ」                            小3、4  社会

 
   
 

 本時は,小学校社会科3、4年の中の小単元「網取よ、よみがえれ」の中の1校時目である。現行の学習指導要領小学校社会科3、4年の目標の中では,「地域社会に対する誇りと愛情を育てるようにする」と述べる。 以上のことをふまえて単元「網取よ、よみがえれ」の目標を次のように設定した。竹富町に住む子どもたちの住む集落の多くは、過疎の悩みだけでなく、学校の統廃合の問題に見舞われている。網取りは学校の廃校となるや廃村となった集落である。本単元で使用される教材は網取り村廃村時の作文をもとに作成したもので、島の生活の苦しさと喜びが織り込まれている。この教材には、イノシシ、魚つり、遠い医師、祭りなど現在竹富町に住む子どもたちの生活体験との共通性が織り込まれている。こどもたちは、作文をもとに絵を描くことにより、描かれた絵には子ども自身の地域に対する思いが描き込まれることになる。この絵をお互い同士鑑賞しあう中で、地域社会に対する具体的なことに対する誇りと愛情が育まれることになる。本単元は竹富町における社会科3、4年の地域学習の最終単元として位置づけている。

 
   
 

  学年:小学校3、4年 社会科
  単元:「網取よ、よみがえれ」 2時間の内 1校時目

 
   
 

・網取りの子どもたちの作文をもとに、生活体験と3.4年の「むすびあうしま島」学習で得た知見をもとに絵を描くこ とができる。
・自己や他者の地域に対する思いを賞味しあうことができる。

 
   
 
  学習の展開 教師の支援・評価の観点

「竹富町の立体地図」を使って網取の場所を確認する。

・西表島の白浜部落より先には道路がなく網取や船浮が「陸の孤島」と呼ばれ、網取村の学校がなくなるとともには、1971 年(昭和46 年)廃村となったことを説明する。

<評価>
・説明を聞く姿勢・態度

 

・あきら君(当時10 才、小学校4 年生)のお話をもとに網取での生活を思い浮かべながら、絵をかく。

(1) ぼくのふるさとあみとり
(2) なんち(桑のみ実)を食べました
(3) ハブにかまれた!!
(4) 給食のパン
(5) いねかり
(6) ツノマタとり
(7) 節祭のハーリー
(8) さかなつり
(9) 田植え
(10) いのしし

・次のあきら君(当時10 才、小学校4 年生)のお話をもと に網取での生活を思い浮かべながら、あなたが一番 気になった部分を絵にかいてみましょうと発問する

・ 迷っている子どもに、まず、書きたい絵を選ぶことを指 導する。その上で選んだ理由を語らせる。その時、じ っくり聞く。その語りを

・ 自由に描いて見せて欲しいという期待をこめたまなざ
  しで、子どもに伝えたい。

・ 絵を描いている間、期間巡視し、こどもが思いを込め て描いている表情や描いている途中の絵をデジカメで 取っておく。もし、絵についての、教師との対話や子ど も同士の対話の様子も映像にしておきたい

<評価>
地域に対する思いが子どもなりに表現できたか否か



・絵を友達にみせて、どういう思いを絵にこめたか語る。

 

・聞いている子どもは感じたことを付箋紙に書き、書いた子どもに送る

絵を描いている時の子どもの表情や、こどもどうしの対話の様子をプロジェクターで浮かびあがらせながら、できあがった絵をみんなで見たくなるような雰囲気をもりあげる。

語り終わった後は、思わずもっと聞きたいという賞賛の拍手が出るようにしたい。

付箋紙に賞味したことを書く時間を保障する。

<評価>

子どもそれぞれの地域に対する思いを教師も子どもも賞味しあえたかどうか。
 
   
 

(1)生徒の感想

@僕は、「魚つり」の絵を描きました。僕の家には舟があるので、この作文のようによく父とつりに出かけます。この絵のポイントはおおきな太った魚の絵と喜んでいる父の顔です。

AA君の絵は、最初みた時何の絵かさっぱりわからなかった。でも、説明を聞いてびっくりした。ヘリコプターが描かれていたのです。A君はほんとうにヘリコプターに乗って八重山病院に行ったそうだけど、そのときの話をもっと聞きたいです。

BBさんの絵は、ほんとうに網取りに行ったことがあって、田んぼ跡を思い出して描いた絵だそうです。集落の後ろにはたくさんの田んぼ、その後ろには山が描かれていました。僕の住んでいる村と似ていると思いました。

(2)考察

@は、作文に描かれた愛情あふれた父子での魚釣りに触発されて作り出された絵の作者自身の感想である。感想以上に絵の中では、赤く大きな魚と喜ぶ顔がみごとに描き出されていた。

Aは、作文を読んで書いた絵としてみてみると理解できなかった絵である。作者の種明かしによって、みんな、なるほどと納得したのである。この納得した時の作者の表情は得意げであった。昔はハブにかまれ、舟で運ばれるが、今はヘリコプターで運ばれるのである。この子どもの感想のように、ヘリコプターで運ばれる時の状況は人ごとではないのが離島の抱える大きな問題である。

Bは、網取りに行ったことのある子どもによって描かれた絵に対する感想である。西表島の多くの水田に共通する立地をよく表し、同時にこの感想を書いた子どもはそのことに気づいている。

 
   
 

・PC関連
  教師用PC(1台),プロジェクタ,教材CD
・プロジェクタ等で教材を表示するのみならず、クラス全員ひとりひとりに教材を含み込んだワークシートを配布する

 
   
 

教材URL:「教材ソフト一覧」にて教材を閲覧下さい  
  http://oecc.open.ed.jp/cdrom/noteword/note20.doc
  http://oecc.open.ed.jp/cdrom/notepdf/note20.pdf

沖縄県立総合教育センターに,竹富町教育委員会(結び合うしま島)として登録されている教材の一つである。
  『網取よ、よみがえれ』は竹富町の島々のIdentityを考えるワークシートになっている。今回の学習では,この中の「やってみよう・絵であらわしてみよう」を活用した。

 
 
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