「竹富島に住みついた若者たち」                     小3、4 社会  
   
 

 本時は,小学校社会科3、4年の中の小単元「竹富島に住みついた若者たち」の中の1校時目である。現行の学習指導要領小学校社会科3、4年の目標の中では,「地域社会に対する誇りと愛情を育てるようにする」と述べる。 以上のことをふまえて単元「竹富島に住みついた若者たち」の目標を次のように設定した。竹富町に住む子どもたちの住む集落の多くは、過疎・老齢化という悩みを抱えている。そういう中で、竹富島は人口が減少しているものの、20代.30代の若者が増えている。増えた原因は竹富島の事業家がエビ養殖を興し、若者を雇用したことにある。しかし、竹富島の特徴は単に若者が増えたことにあるのではない。島文化の担い手であることを雇用の条件にしたのである、このようにして島の人たちがとても大切に、そして誇りに思っている伝統行事や工芸品を若者に受け継がせようとしている営みを教科内容とする。教材には、竹富島住民年れい層表、竹富小中学校児童生徒数の変化、エビ養殖場の社長さんの話、あきら君とつとむ君とゆう子さんが自分たちの将来について話しなどを教材として個人の夢を実現することと、地域で伝統文化を継承することとのズレを考える。

 
   
 

学年:小学校3、4年 社会科
単元:「竹富島に住みついた若者たち」 2時間の内 2校時目

  
 
   
 

・一番竹富島の伝統文化や工芸品を守っているものは何なのかを考えることを通して自分づくりをする基礎を養う。・先人の地域に対する思いを理解する。

 
   
 
  学習の展開 教師の支援・評価の観点

どれが、一番竹富島の伝統文化や工芸品をみんなで守っていくことに役だっているか

『売らない』『こわさない』『よごさない』『乱さない』『生かす』という竹富島憲章

沖縄県で初めて「まちなみ保存地区」(重要伝統的建造物群保存地区)

竹富島島民や竹富島出身者などの手によって作られた全国竹富島文化協会

どれか一つを撰ぶために、先生に対する質問を考える。

若者が住みつき、伝統行事を手伝い始めたことを確認した後で

発問
3つの内、どれが、一番竹富島の伝統文化や工芸品をみんなで守っていくことに役だっているか聞く。

 内容がわからなければ答えようがない。ここでは先生に質問を子どもがすることによって認識を深めることがねらいである

<評価>
・説明を聞き、質問しようという姿勢・態度

 
展開

自分たちの将来について話し

あきら君 大きくなってもこの島にいてずっと踊りをやっていきたい

つとむ君 ぼくは自分の夢を実現したいな。東京に行ってパイロットになりたい

ゆう子さん ?

それぞれに、賛成する人に手をあげる。

の後、賛成する理由を書く。

・あなたは、3 人の中でだれの意見に賛成しますか。と発問する

・3人の中で、ゆう子さんが、「今は少し若い人がふえてきて伝統文化を受けついでくれる人がいるんだよ。」「踊りを覚えるのってたいへんだよね。」「わたしの家のとなりの山口さんは東京から来た人で、いっしょうけんめい踊りを覚えているよ。」というように自分の意見は述べず、周りの状況ばかりを述べていることに子どもが気づくかどうかが最初の要点である。
・優柔不断にみえるゆう子さんを賛成する子どもがいるかどうかが次の要点である。



『種子取祭』についての話を聞く。

40 年前、竹富島は人口1000 人ほどの長寿の島、78 の拝所、6 つの山に神司も6 人の信仰の深い島、島には石が多く、西表島に出作田、竹富島では、大豆、さとうきび、麦、あわ、あずき、水田のほとんどない島に『種子取祭』の意味は島の人たちの健康と長寿や竹富島で平和にくらせるように願い。

明君のおばあちゃんになったつもりで『種子取祭』について語る。

 

 

<評価>
子ども自身が、文化を継承する思いを理解しえたかどうか。

 
   
 

(1)生徒の感想
@僕は、『売らない』『こわさない』『よごさない』『乱さない』『生かす』という竹富島憲章によって、竹富島の景観や 町並みが島の外の人に壊されずに守れたということを聞いてびっくりしました。
A私は、自分の夢を実現するために、沖縄や本土に行った人が自分の島の文化を守るために、本をつくったりして いると聞いて、あきら君もそうすればいいと思いました。
Bゆう子さんは自分の意見を言わないのはずるいと思います。
(2)考察
@三択から撰ばなければならないという状況に追い込まれた子どもの質問によって、気持ちよく伝えたい三点を説明でき、子どもを「びっくり」させることができた。
A導入の討論は意外なほど盛り上がり、竹富島を守ろうとするのは竹富島民だけではなく、竹富出身者認識も守ろうとしているという全国竹富島文化協会を通した視点を、展開の討論で見いだすことができた。
Bしかし、ゆう子さんの周りの状況ばかりを述べている発言は、伝統文化継承の肯定的な状況を述べているという指摘もなく、深みをつくることができなかった。また、明君のおばあちゃん『種子取祭』については全く反応がなかった。これは文化葛藤のまとめの教材としては失敗であったことを示している。今後この最後の教材を、全国竹富島文化協会を素材としてつくりかえる必要がある。

 
   
 

・PC関連
  教師用PC(1台),プロジェクタ,教材CD
・プロジェクタ等で教材を表示するのみならず、クラス全員ひとりひとりに教材を含み込んだワークシートを配布する

 
   
 

教材URL:「教材ソフト一覧」にて教材を閲覧下さい  
   http://oecc.open.ed.jp/cdrom/noteword/note21.doc
   http://oecc.open.ed.jp/cdrom/notepdf/note21.pdf

沖縄県立総合教育センターに,竹富町教育委員会(結び合うしま島)として登録されている教材の一つである。
  『竹富島に住みついた若者たち』は竹富町の島々のIdentityを考えるワークシートになっている。今回の学習では,この中の「伝統文化の島ー竹富島」を活用した。

 
 
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