鳩間島への道(離島の流通問題を考える)                  小3  社会

 
   
 

 本時は、小学校社会科3年の「身近な地域調べ」に関する教材「鳩間島への道」の1校時である。本教材は2つの作業から組み立てられている。1つ目は、離島における流通の特徴を実感させるために、「航路と航空路をひく」という作業を取り入れている。これは、竹富町という多くの離島からなる島々が石垣島を中心として航路がひかれていること、それが流通の基礎となっていること、航路の便数と島の人口や島の規模の関係を考えることを目標としている。2つ目は「身近な地域調べ」の流通学習の中で行われる「買い物調べ」を離島の現状に合わせてワークシートにしたことである。通常、離島には、共同売店もしくは個人経営の商店が島の消費生活の中心となっており、そこでの商品構成や陳列、仕入れの工夫が学習される。この特徴を島の流通と合わせながら、学習できるワークシートとなっている。そのため、各学校においての買い物調べと実際の売店の見学や聞き取りという学習とを合わせて使用できるという特徴を持っている。 また、本教材は小学校3年生向けに作成されているが、竹富町に転校してきた小学生や、竹富町の概略を学ぶ上でも有効な教材であり、中学校等でも活用できるものとなっている。

 
   
 

  学年:小学校3年 社会
  単元:「身近な地域について調べよう」
  校時:1校時(10時間程度)

 
   
 

・竹富町の島々の航路は石垣島を拠点としてつくられていることを知る。
・航路数が島々によって違い、その便数の設定に疑問を持つことができる。

 
   
 
  学習の展開 教師の支援・評価の観点

・ワークシートの1枚目と交通地図を配布する。

・竹富町の地図を用意する。

作業1
「竹富町の地図を見て、『やってみよう』の港と空港を書き入れてみましょう。」
〈評価〉
※地図を読み取る力


・現在の子どもの生活体験から便の数を予想させる。

 

・ワークシートの2枚目以降の時刻表の一覧を配布する。

予想
「港と空港から1日に何便船と飛行機が8月の観光シーズンには出発していると思いますか。次の中から選んでください。

作業2
「予想しましたか。それでは配布した時刻表を見て下さい。竹富町では現在12種類の航路があります。その航路の1日あたりの便数を数えて、便数が多い順に順位をつけましょう。」

作業3
「時刻表と交通地図を見ながら、線で航路と航空路を書きこみましょう。航空路は赤線、航路は黒線、毎日でない航路には点線をひきましょう。」

この作業の際、便数の多さに子どもが飽きないよう、作業を通じた疑問を声に出しながら作業し、子どもの発見した疑問を聞くことが重要。

〈評価〉
作業を通じて、疑問や発見をする能力
時刻表を正しく読み取る能力



・作業を通じて、わかったこと、疑問に思ったことを書かせる。

・その際、毎日航路がない島があることに気づかせる。

まとめ
「『航路と航空路をひく』をやってみてわかったことを書いてみましょう。」

〈評価〉
・ 自分の疑問を発表する能力
・ 読み取りから島の航路の設定理由についての自分なり の考察をする能力
・ 生活経験とのギャップを見つける能力

 
   
 

(1)児童・生徒の感想
  ・ どうして石垣島を通じてしか、他の島に行けないのかな。
  ・ 竹富島がこんなに便数が多いのはなぜだろう。
  ・ 竹富島に多い理由は観光じゃないかな。
  ・ 鳩間島には、2日に1回しか船が出ていないのはなぜだろう。

(2)考察
 本教材は、作業を通じて竹富町の流通の基本である航路についての理解を深める教材であるが、実践を通じていくつかの改良すべき点も見られた。
 1つ目は、作業2の便数を数え、順位をつけるという作業と、航路と航空路をひくという作業は、実は子どもにとっては同じ質の作業となっていることがわかった。小学校3年生を想定した場合、実感として多いということを体験させるために、航路と航空路をひくという作業をしてきたのであるが、便数を数えてしまうと「数が多いは○○航路」というのがわかってしまうため、「竹富町どうしの他の島への航路がない」ということを発見するにとどまってしまうという可能性がある。そのため、小学3年生に本教材を実施する場合、便数数えと順位をつける作業は省略して、線をひく作業を子どもと一緒にすることでその驚きや発見が高まるものと思われる。便数を数える作業は、1日に240便という便数の多さを科学的に認識することの重要性また、各島の比較(特に自分の島と他の島の比較)を意識した場合には、重要な作業となるので、ここを意識する場合には挿入することには意味があると思われる。
  2つ目は、時刻表自体が大きくは変わらないものの、変動のデータであるためにその都度関係各社や雑誌等において確認することが必要であると思われる。会社としては、航路「八重山観光フェリー」「安栄観光」「波照間海運」「船浮観光」、航空路「RAC」のデータを採用している。これらの確認は必要になるであろう。

 
   
 

・PC関連
    教師用PC(1台),プロジェクタ,教材CD
・指導案は,プロジェクタ等で教材を表示して,クラス全員で一斉に学習を進めていく形態を想定している。

 
   
 

教材URL:「教材ソフト一覧」にて教材を閲覧下さい 
   http://oecc.open.ed.jp/cdrom/noteword/note01.doc
   http://oecc.open.ed.jp/cdrom/notepdf/note01.pdf

沖縄県立総合教育センターに,竹富町教育委員会(結び合うしま島)として登録されている教材の一つである。
本指導案では、このワークシートの1ページより12ページまでの部分を活用することを目的としたものである。

 
 
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